水棚沢から雨山へ

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なんだかさえないトップの写真、水棚沢核心の二段18m棚なのだが、実際はもう少しマシである。
訪れた時間帯が悪く、周辺に陽が当たりはじめ撮影条件は最悪、そのうえ、レンズが汚れているのに気づかず大ボケ写真ばかりになってしまった。
滝見のあとは沢を詰めるつもりでいたが、このあたり一面崩壊地形で、ここに来るまでに二度落石にあい危うい目にあった。狭い沢の中では避けようがなく、これ以上は危険と判断して左岸に取り付き雨山へ登ることにした。

やどりき大橋[7:30]…水棚沢出合[7:47]…棚場[8:37]…左岸を登る[9:10]…雨山[10:53]…檜岳[11:24]…滝郷沢右俣左俣中間尾根…やどりき大橋[12:50]

冬期は管理捕獲が盛んな檜岳山稜、先日会ったハンターは、土曜と水曜が猟日といっていたので日曜日に出かけてきたのだが、寄バス停をすぎた中津川沿いの道端にオレンジ軍団が集結していた。
あれっ話が違うな、日曜日それも連休なのにやるのかいなと思い、停車して猟場や猟日のことなど尋ねてみたが、どうも話がかみ合わない。最近は、地名や地形を知らないハンターも多いし、まあいいや、撃つなら撃ちやがれでその場を立ち去る。
でも、きょうは黒のダウン着てきちゃったんだよな…、大丈夫かな

てなわけで、きょうは深入りせずに、早目に切り上げることにします。
やどりき大橋から水源林のゲートを抜けて寄沢沿いをすすみ、無駄に高巻きを強いられる登山道を無視して水棚堰堤の脇をすり抜け、ガレが大量に押し出された水棚沢の出合に立った。

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右岸に渡りガレに埋もれた低い堰堤を通過、続く石垣状堰堤は右から越え、もうひとつ低いコンクリート堰堤も越える。青ザレの崩壊崖を前面に見ながら進んでいくと、今度は三連のコンクリート堰堤が行く手にはだかる。
連瀑帯なら楽しいが、さしずめ連堤帯といったところだろうか。

五番目だった気がするのだが「№6コンクリートえん堤」とプレートのある堰堤を左から越え、すぐに続く堰堤は左隅の岩を攀じ登ろうと思ったが少々微妙、やめて左の岩場から高巻く。
もうひとつ堰堤を越えると開けた河原になり、その先にはゴルジュ入口となる小ぶりの棚が見えてきた。

棚場になったところで立ち止まり、カメラを構えたところにガラッと崩れる音がして身構える間もなくラグビーボール大の岩が転がり落ちてきた。無事でよかったが、あのまま立ち止まらずに歩いていたら直撃だったかもしれない。

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棚場のゴルジュに入って沢が右に曲がると見上げるように核心の二段18m棚が見えてくる。
本日のメインイベントだが朝陽が当たってまともな写真が撮れない。
この棚が、地形図に「滝郷ノ滝」とデカデカと誤記されている滝である。

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少しはマシな写真が撮れないかと、場所を変えて何枚か撮っていると、左岸の崖でガラッと音がしたと思ったら、こぶし大の岩が5m先に転がり落ちてきた。
シカやカモシカが崖の上を歩いて」落とした訳ではなく自然落石、二度も続くとちょっとビビってしまう。

一応、目的とした二段棚までは来たので、きょうのところは無理せず左岸に逃げて雨山を目指すことにした。
といっても左岸の脆い岩場を登り続ける勇気はないので、3m棚まで戻り左岸に取り付く。
急ではあるが泥付き斜面で、適度に立木や木の根があるのでなんとかなりそうだ。
ここしかないというルートをたどり急斜面を登っていく。

急斜面を登り続けていくとようやく南側が開けて展望がよくなる。
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写真では分からないが、ここから塗り直したばかりの真っ赤なやどりき大橋がよく見える。
ということは、向こうからもこちらが見えているはずなので、あとで確認してみよう。
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南の急斜面から南東尾根に合流すればあとは登りやすい尾根道
最後の急登をひと踏ん張りで山頂に到着した。
今は「雨山」だが「新編相模国風土記稿」に記載されている古地図は「水棚」と表記している。
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山稜伝いを檜岳まで歩いていく途中、富士山が観えるとついカメラをむけてしまう。
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檜岳につくと登山者が一人、南東側をのぞきこんだりしながらウロウロしている。
バリの初心者かなと思ったが、どうもそうでもなさそうだ。
鍋割山にいく途中方向が分からなくなったらしく、山陰にあった森林軌道の軌道沿いに行きそうになっていた。
正しい方角を教えてあげて雨山方面にむかっていったが、現在時刻ほぼ11時半。こんなところで迷っているようで雨山峠から鍋割山に登るって大丈夫なのかな?

ちょっと心配になってきたが、もう行ってしまったので仕方がない。
結構、遅くから歩きだしても平気な人が多いんだなと感心してしまうが、こちらは早帰りもう帰ります。
ということで、安近短でよく使う滝郷沢の中間尾根へ。
最後は右俣と左俣に挟まれたヤセ尾根になり、沢の真ん中に下りていくが好きなんだな。
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沢に降りたあとは植樹林を抜けて周遊歩道を歩き、やどりき大橋へ。
しかし、この成長の森の植樹林も周遊歩道も味気ないネーミングばかり、
もう少し遊び心がほしいよなといつも思うのだけど、
それはともかく、鉄砲隊と遭遇することもなく無事もどってきたのでなによりです。

そして、やどりき大橋。真ん中奥に見える三角が、こちらを見ていたところだな。
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 【独り言】
山遊びにはかかせない地形図。大変お世話になっているので文句をつけるつもりはないのだけれど、気になるのは誤謬。地形は信用しているけど、地名や登山道の表記には「?」マークがつくことが多い。
中でも、丹沢マニアなら誰でも知っている水棚沢にデカデカと表記された「滝郷ノ滝」、こいつはどうにもいただけない。以前、二度誤りを指摘したことがある。一度目はメールだが、返答は「次回の調査で確認します」的な、つれない返事、もちろん修正されずそのまんま。
二度目は、調べごとがあったので国土地理院に出向いた際、直接指摘したのだが残念ながら担当者不在で伝言メモの書置きだった。このときは、そのあとに丁寧な回答もらい、確認したところ間違いであるということは認めてくれた。すぐに修正するような書き方だったので、ようやく「メダタシ、メデタシ」と思っていたが、いまだに訂正も削除もされず現在に至るである。
それ以来アホらしくなり、誤りを指摘するのはやめてしまった。
無給の現地調査員を、もっと信用して活用してくれればいいのにと思うのですが。



2017.2.12(日)

《今回のルート図》

この記事へのコメント

  • TI-AEK26

    イ師匠 ご無沙汰しております<(_ _)>

    「連堤帯」いい響きですね!
    ゾクゾクします!!
    1つのエンテイがカバーするのは3オクターブぐらいに
    とどめておいたほうがいいっぽいので,やっぱ4連,
    できれば5連にしておいたほうがよさそうっぽいです。

    地形図は,等高線を引く人は命をかけて勝負してるっぽいですが,
    その他の情報はオマケみたいなもんで間違いだらけにもかかわらず
    無謬性の原則だけは適用してるっぽいですねえ。。
    2017年02月20日 22:34
  • イガイガ

    ハカセ
    玄倉の小菅沢左岸支流の伊勢沢みたいに、まるでドミノ倒しの沢もありますけど、3オクターブは高すぎですよ。4連、5連なんて勘弁してくださいな。
    水棚沢の堰堤群、いや連堤帯、ピッチがずれたボロエンテイばかり、役目をとっくに終えていますが、あんなんでも、何もないよりましなんでしょうね、きっと。
    2017年02月21日 17:12

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