塔ノ岳の帰り道、心に棲みつく悪魔に誘われるまま、日高からオバケ沢に下降、決して誉められた山遊びじゃなかったけどね。まっ、お許しを。
写真はオバケの滝と上段の滝です。
本谷吊り橋[7:25]…札掛径路…長尾尾根…新大日[10:19]…塔ノ岳[10:56]…日高[11:30]…日高南東尾根…オバケ沢[12:24]…オバケの滝…本谷林道[14:31]
まずはひねりもなく、本谷吊り橋から札掛径路を歩き、長尾尾根に取り付いてダラダラ長い尾根を登って塔ノ岳へ、ごくふつうの山歩きである。
長尾尾根は、山遊びのあとの下山ルートで歩くことはままあるが、登りルートで徹して歩くのはおそらく初めて、イヤ~意外と新鮮だ

新大日で表尾根と合流以後、数組のハイカーとすれ違ったのみ、ここまでとりたてて変わったこともなく塔ノ岳に到着。何ごともなしということで、きょうは早々に切り上げ帰るつもりだが、さて帰り道はどこにしようかな。
天気がいいので、このまま主脈登山道を歩いてもよいのだが、丹沢山は最近隠れて何度も行っているのでやめにして、素直に日高から三角ノ頭経由で戻ることに決めた。
のんびり日高に向かって主脈登山道を歩いていると、よからぬ声が耳元でささやきだした。
またアイツだ。
主脈登山道、日高に立つ指導標。
これがあるところはだいたいが、善良な登山者が迷い込まないための道しるべ。
でも性悪な登山者には、こっちにおいでの道案内板にみえる。


心の奥底に棲みつく悪魔のヤツ、人の気持ちを見透かして勝手なことぬかしやがる。
きょうはダメだ、沢靴履いてないし、だいたい地図もスマホも家に忘れてきちゃったじゃないか。


う~んそれもそうだな、じゃチョットだけヨ
ってなんだか、うまいこと悪魔にのせられたような気もするけど…
かくして日高から登山道を外れ、三角ノ頭への吊り尾根の踏跡に入り、さらに外れて南東の笹っ原に向かう。
そして、行き詰ったら引き返せばいいじゃないかと悪魔の甘いささやきに導かるまま、南東の尾根筋に踏み入った。頼れるものは周りの景色と腕につけているプロトレックのコンパス、それにあとは経験だがコイツは信用できない。

チョット覗いてみるだけと思っていたら、何だずいぶんイイ尾根じゃん。
“イイ尾根”の基準は人それぞれなので一概にはいえないが自然度は満点、なんだか道形らしき痕跡もあり、行く手をはばむような危険箇所もない。
もちろん未知の尾根の下降は油断禁物だが、いいねこの緊張感。腐り始めた脳ミソが活性化しだしたぞ。
最近は、ついついスマホのアプリに頼りがちだが、きょうは忘れてきたので頼るのは自力のみ。
久々に神経を集中する。
途中、ちょっと緊張を解いてお花ブレイク。これは“トウゴクミツバツツジ”ですな。
花オンチでもミツバツツジとの違いぐらいは分かりますぜ。

とにかく、ルートを誤らないよう神経を集中していくと、やがてオバケ沢の水音が聞こえてきた。
そして降り立ったのはオバケ沢上流の二俣、明るく開けた雰囲気でオバケ沢という陰鬱なイメージとはかけ離れたところだ。
ウン、この尾根自然度は高いし、容易に入り込める場所ではないのがいいね。
マイ・フェイバリットに登録決定


オバケ沢に下ったところであとは沢下り、そもそも沢を下る行為はやっちゃいけないことはよく分かっている。
そのうえ沢靴も履いていないとあっては何をか言わんやである。
でもね、オバケ沢は何度か歩いて要領は知っているし、ほとんどがゴーロなので、沢靴なしでも乾いた岩を選んで歩けば、大丈夫なのは知っている。なので、決して無茶な行為をしているわけではありませんよ。
唯一の難所となる通称“オバケの滝”も、巻き方さえ知っていれば問題はない。

これはオバケの滝下流の滝。

虹が架かる大日堰堤。

最後の本谷林道に降りるところは、左岸にある迂回径路に上がって巻いていくのが安全策だが、けっこう登らされるのが疲れた体にはキツイ、径路に上がらず沢通しに行っても要領を知っていれば楽しく歩ける。沢沿いを行くとゴルジュに行き当たり、一瞬、まともに通過するのは難しく思えるが、極狭のゴルジュは岩間に流木が詰まっていて、その上が渡れる。そして大岩を回り込めば、困難そうなゴルジュ帯も簡単に抜けられる。
ゴルジュ最初の4m滝(上流側)、ここからゴルジュになる。

抜け出したあと、ゴルジュ帯全景を下流側から見る。

ゴルジュを抜け、堰堤を二つ下れば、本谷林道の終点地点になる。
林道に上がれば、本日の山遊びもおしまいである。
きょうの教訓
準備はちゃんとしてから山に出かけましょう。
初めての尾根、知らない沢は下らないようにしましょう。
きちんと守って、安全登山にこころがけましょう。
お前が言うな…
2017.5.23(火)
《今回のルート図》
この記事へのコメント
old-diver
私も23日にオバケ沢-日高-寿岳を歩きました。行程時間を見ると、往路と帰路の本谷の林道での時間がほぼ一致しています。往路は、私は林道を歩いていましたが、私の後ろから確か白いBMWが追い抜いてゆき、その先に停車して、その人は軽装で本谷を渡り、向かいの山へ歩いて行きました。さらに、私が復路で寿岳の経路から林道に降りた時に、後ろから往路の時と多分同じ人が来て、その後、私が林道を歩いていると、後ろからBMWで追い越して行きました。林道のゲートを超えて、車で林道に入ってきたので、山仕事関係の人かと思っていましたが、ひょっとして、貴殿でしょうか?私は半ズボンに橙色のヘルメット姿でした。林道の終点方面から来られたので、オバケ沢を降りてきたに違いないと思っていましたが。
間違っていたら、失礼いたします。もし、当たっていたら、なぜゲートを越せたのでしょうか?
イガイガ
行き帰りにお見かけしたのは覚えています。私で間違いないと思います。
メット姿の方だったのでキュウハかなと思っていましたが、オバケ沢だったんですね。帰路で追いつけばお話しもできたのですがヘロヘロ追いつけず残念でした。
ご質問の件は詳しく語れないので省略させてください。スミマセン。
old-diver
イガイガ