どこからアプローチしても遠い世附の山奥の沢、出合に立つだけで一苦労だ。
きょうは、樅ノ木沢から分かれた西沢のそのまた左俣へいってみることにした。
山伏トンネル[7:11]…山伏峠分岐[7:36]…要所小屋ノ頭[7:44]…甲相国境尾根…水ノ沢・樅ノ木沢界尾根[9:11]…1197mピーク[9:55]…鍋釣山(970m)[10:24]…水ノ木林道[11:00]…樅ノ木橋[11:07]…樅ノ木沢出合[11:09]…樅ノ木沢…西沢出合[11:45]…西沢…西沢860m二俣[12:25]…西沢左俣…甲相国境尾根[13:50]…山伏トンネル[14:47]
道志みちをひた走り、山中湖高原ホテルの廃虚がある山伏トンネル西側に車を置いて出発する。ここは心霊スポットになっているらしいが、霊感のない者にとっては何も感じず、単なるつぶれたホテルの廃屋にしかみえない。目的は心霊スポット巡りではないので、山伏トンネル東側から山伏峠に上がり、大棚ノ頭をからんで東海自然歩道の稜線に乗る。標高1100mの山伏トンネルからなのでかなりの省エネ、あとは高低差もほとんどなく歩きやすい甲相国境尾根の縦走路歩きとなる。
きょうの目的、西沢の左俣は、樅ノ木沢から分かれた西沢のさらに860mで西に分かれる左俣、右俣は二度ほど歩いているが、左俣はまだ歩いていない。どんな沢か楽しみだが、まずは樅ノ木沢の出合へ向かうため、甲相国境尾根を北東に向かい、樅ノ木沢と水ノ木沢を分ける分界尾根を下っていくつもりである。
甲相国境尾根の道標はピークの名前が混同していて戸惑う。現地に「油沢ノ頭」とあるピークは、本来は「樅ノ木沢ノ頭」であったはず。今「樅ノ木沢ノ頭」の道標は、少し西側の中途半端な小ピークに立っている。山梨県と神奈川県の境をなす稜線なので呼び方が錯綜しているのはしかたがないにしても、間違った場所に立っているのは困りものだ。ちなみにこの油沢がどこにあるかを知っている人ってどれだけいるのだろうか。この沢、道志のモチハギ沢の西隣にある稜線まで届かないちっぽけな沢で、どうしてこんな沢が頭の名前になっているのか不思議である。樅ノ木沢は神奈川県サイドの沢、道標を立て管理しているのは神奈川県なのだから、ここは「樅ノ木沢ノ頭としてもらいたいものだ。
ほかにも言いたいことはたくさんあるが、長くなるのでいずれの機会にするとして、本日の沢遊び出発地、樅ノ木沢の出合までは、油沢の頭の道標を少し東に進んだところから、水ノ木沢と樅ノ木沢の分界尾根に入りくだっていく。
この尾根筋、一見すると簡単そうにみえるが、下りの場合は随所に落とし穴があり、気を抜くと枝に引っぱられる。下降点から尾根に入るときも、しっかり方角を確認したつもりだったのだが、いきなり急斜面になりおかしい。方向を再確認すると、あやうく南東の枝尾根を下るところだった。出足からつまずいたが、トラバースしながら軌道を修正、ルートに乗って安心していると、今度は1200m付近でまた違う方向に引き込まれそうになった。勘頼りは間違いのもと、きっちりルートファインディングをしていかないと、あらぬ方向に引き込まれるので要注意、その後は分岐での方向確認を怠らず、予定の尾根筋をたどって水ノ木林道に降り立った。
水ノ木林道を北に向かって6、7分で樅ノ木橋に着いた。ここまで4時間、けっこう時間がかかった印象だ。
さあ、樅ノ木橋から出合に降りたら、橋をくぐって遡行を開始だ。

水量はいつもより多めかな。

取水施設跡の先にあるナメ斜瀑も見ごたえあり、気持ちよく登る。

しばらくゴーロを歩いて樅ノ木沢と西沢の分岐地点へ。右は樅ノ木沢、左が西沢。

西沢に進み、すぐの石積堰堤を右から越えれば、またしばらくはゴーロ歩きになる。

そしてナメ床の急流が続く。

二条5m棚は直登を避け左から巻いていく。

ここは水流を蹴散らしながら快適に登る。

そして860mで二俣。
左の流れが本日の目的の左俣、右俣は何度か歩いているが左俣に入るのは初めてだ。
さ~て、アタリの沢かハズレの沢か、楽しみ、楽しみ


入ってすぐはやや荒れた感じ、こりゃハズレだったかな…

う~ん、少々ショボイが我慢、我慢。

枝沢に紛れ込んでしまったような印象だったが、しばらく様子をみているとナメ床になった。
雰囲気が出てきたぞ。

これは期待できるかも


何かを予感するこの流れ…

予感的中


岩との相性よし、水流沿いを快適に登れるのが楽しい。ヌルヌルだった石小屋沢とは大違いだ。

続いてこの棚も20m以上はある一連の棚だ。
ここもフリクションはばっちり、怖い思いをせずに躊躇なく登れるのがイイね


水流は続くよどこまでも、ここだって水線が登れるぜ~


水流は衰えずまだまだ続いている。でもこのトイ状の棚、上まで登れるかな…

遠目で見たよりはやさしそう、チャレンジしてみると意外と簡単に登れたが、この上で水量は減った。
まだ流れは続いていて、もう少し登っていくことも可能なのだが、そろそろ水も涸れそうである。あんまり深追いすると最後に泣きをみるかもしれないので、余裕のあるうちに逃げたほうが賢明と思い、ここらで沢を離れて右岸の尾根に上がることにした。取り付いた最初の急斜面だけ少し我慢すれば、あとはヤブコギらしいヤブコギもなく、甲相国境尾根の登山道に飛び出した。あとは朝来た道を戻るだけである。
遡行開始の樅ノ木沢の出合までは予想以上にかかってしまったが、沢に入れば棚はほとんど直登可能、フリクションもよく、難しい棚越えや高巻きがなかったおかげで意外と順調に歩くことができた。沢歩き派にとって歩きやすいこの流域の沢、次はここも未踏で気になっている、右俣960mの左俣へ行ってみようかなと思っている。
2018.7.30(月)
《今回のルート図》
この記事へのコメント
のん
utayan
イガイガ
雨が降った後の水量が豊富なときを見計らっていってみてください。