トップの写真は、ヒワタ沢ゴルジュの最上段に水を落とす幅広の12m棚。扇ノ滝なんて呼び名もある美滝だが、間近に観るには、ゴルジュを突破しないと望めない棚である。
そして、本日のコラボメンバーは、AYさん、ardbegさん、nenetaさん、それにイガイガのデンジャラス・カルテット。よく言えば個性豊かな4人組なのだが、言い換えれば極悪4人集団、果たして、どんな結末になることやら…
日陰沢橋[7:12]…神ノ川林道…ヒワタ沢F1[8:33]…ゴルジュに取り付く[8:40]…F3[9:45]…右岸高巻き…扇ノ滝[10:14]…扇ノ滝落口[10:40/11:00]…1130m二俣[12:04/12:23]…ガラ場脱出にもがく三人を救出[13:30]…檜洞丸北西稜[13:44]…小笄[14:28]…コリバラモ沢(梱棘擬沢)左岸尾根下降…富士見橋[15:10]…犬越路トンネル…下駄沢右岸尾根[15:40]…日陰沢橋ゲート[16:00]

神ノ川のランドマークである、白いアーチ橋のヒワタ橋から見上げるヒワタ沢。
ここから沢に入ることも可能だが、上部を通る神ノ川林道までの間は、堰堤が連続するだけで、あまりおもしろくない。
この先のヘアピンで折り返す林道が、ふたたびヒワタ沢を横切る地点まで歩いて、そこから入渓するのが一般的である。
上の橋まで行ったら、まずはゴルジュ最初の棚となるF1を見物したい。F1は、林道に架かる橋の真下にあるため上から覗きこむだけでつい納得してしまいがち、ここは億劫がらず、橋の下まで降りて眺めたいところだ。
橋の手前からザレ場をくだって沢に降りると、橋の下は両岸迫るゴルジュになっている。
そして、手を広げれば届きそうな狭い岩壁の奥に瀑音をとどろかせ流れ落ちるF1の姿を観ることができる。

もちろんここは観るだけ。

林道に戻り、橋の上からF1に続くゴルジュの連瀑を観る。
写真で難しさは伝わらないが、逃げだしたくなるほど厳しい眺めだ。

そんな思いも、ひとたびスイッチが入れば、ワクワク、ゾクゾクに変わる。橋の右手から取り付き、斜面の踏跡を追って登っていく。
しかし、踏跡がはっきりしていたのは最初だけ、だんだんと曖昧になって消えていく。どこかに沢まで下降できそうなルートがないか探してみるが、安全に降りられそうなところが見当たらない。何ヵ所か下降を試みているうち、ようやく以前の突破ルートを思い出した。
沢まで30mぐらいのところを、ロープをだして確保しながら岩場をトラバース、しくじったら谷底にドボンだ。
何とかギリギリの渡りで岩壁の上に立ち、最後は、左岸のザレ窪を15mほど伝い降りてF3前のテラスに下降した。


沢に降りたまではいいが、深いV字谷の極狭ゴルジュ。先には手のつけようのない棚が連続している。

この先の棚を間近で観られないのはもったいないが、危険をさけて右岸の斜上するルンゼに取り付き40mほど登ったところからトラバース気味に高巻いて、さきほど奥に見えていた二段棚の上に降り、沢に戻った。
二段20m棚の落口から覗きこむ。橋はまだすぐそこ。

そして背後には、ゴルジュの最後を彩る扇ノ滝(=トップ画像)
幅広に水を落とす扇状の美滝である。
下から眺めると、落差は10mそこそこだが、落口が丸みをおびているので実際の落差はもっと高い。
右岸を巻きながら撮った一枚。

ようやくゴルジュ帯を抜け出し、扇ノ滝の落口でホッと一息。だが、ここから稜線までは、まだ600m以上もある。そのうえ、ここからのヒワタ沢はガレに埋もれた単調な沢に変わり、忍耐の登りが続きそうだ。

ゴルジュ以降、唯一、滝っぽい流れは5mのこの一本ぐらいかな…

1130m二俣。
檜洞丸に詰め上がるのなら左だが如何せん水の流れがない。
右はトイ状の流れがあり、本日はこちらを詰めることに決定。
ただし、源頭近くの崩壊地マークが気になるところだ。

ヒワタ沢の真骨頂、ガレだらけの崩壊地の真っ只中といった様相になってきた。
左岸は、ガレの製造現場のような大きくえぐれた崩壊崖だ。

最後の湧水をすぎたところで、無茶せず、右岸の安全な尾根に上がったイガイガの制止も聞かずに、
そのまんま崩壊の沢筋を行っちゃった三人…
お~い、そっちは地獄行きの崩壊地だぞ~

案の定、行く手を崩壊崖に阻まれ、半遭難状態になった三人。
下からは行けそうに見えているのかもしれないけど、この先はボロボロのガラ場で極悪地帯。
これ以上進むのは無謀なので三人を説得、崩壊のヘリに回り込んで上からロープを出し救出した。
とにかく、無事でなにより、よかった、よかった。

檜洞丸北西稜の登山道に上がって、ハイお疲れさま。
この辺りに遭難碑が立ったかも…



檜洞丸北西稜を小笄までいき、西に続くコリバラモ沢左岸尾根を下って犬越路トンネルをくぐり、神ノ川林道を西に移動して日陰沢橋ゲートにピッタリ降り着くルートをたどることになった。
小笄からコリバラモ沢左岸の下り始めは、ガレ混じりの急斜面で、足元に気を付けながら灌木をつかんで降りていく。急だった傾斜がいったんゆるんで落ち着いくと、雰囲気のよい尾根に変わった。
後半は、ヤセた尾根になりまた少し急になるが歩くのには問題ない。このまま林道まで降りられるかと思っていたら、尾根の末端は崖。オマケに金網で覆われていて降りられない。
ここは、少し手前の緩斜面をコリバラモ沢に下降、犬越路トンネルの南側の富士見橋の袂で林道に上がった。
犬越路トンネルをくぐり、神ノ川を少し西に歩いてからガードレールをまたぎ、植林斜面を日陰沢橋のゲートまで一気にくだっていく。上の林道から下の林道まで、わずか20分で降りてこられる、時短ルートである。
前半のゴルジュ通過に時間がかかり、もっと遅くなるかなと思っていたが、意外と早く帰ってくることができた。
それにしても、きょうもシビれる山遊びでした。
楽しく遊んで無事に帰る。
「どこまでも登れると思うな崩壊地」ってことでヨロシク。
2019.4.21(日)
《今回のルート図》
この記事へのコメント
イガイガ
ネネちゃん、ヒワタ沢に取り付いたのは右岸じゃなくて左岸だよ。
neneta
ご指摘ありがとうございます。よく間違えます💦
崩壊地からの救出ありがとうございました。
またシビれる山遊びを、よろしくお願いいたします。
またシビれる山遊びを、よろしくお願いします!