荒れた鳥屋鐘沢

今年1月、本間橋から早戸川のマス釣り場までかつての径路を歩いて鳥屋鐘沢中流域を横切ったとき、あまりに荒れて一変した沢の様子に驚いた。自然の猛威のすさまじさを目の当たりにして下流域の滝場はいったいどうなっているのだろうと気になり、久しぶりに鳥屋鐘沢を遡ってみることにした。

相変わらず早戸川林道は通行止めのまま、松茸山登山口からの出発である。林道の土砂は脇に片づけられているがゲートはガッチリ施錠、横をすり抜てけ5分ほど歩くと深い谷間の鳥屋鐘沢が見えてくる。ガードレールの切れ間を下って鳥屋鐘沢の出合に降りていくと、あきらかに様子が違い違和感だ。

出合は大岩だけ残し流されたのかスッキリ、沢幅も広くなっている。
押し流されてきた土石流に両岸が削られたのだろう。

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ナメの様子は変わっていないようにみえるがやっぱり雰囲気違うな…
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ここはこんな感じだったかな…
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岩が流され歩きやすいのか、たまたま調子がいいのかサクサク歩けて楽しい
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さらに右に曲がって進んでいくと…

ありゃりゃ💦
いつも勢いよくほとばしっているトヤカネ名物水抜きションベン小僧が涸れてるぞ

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先のこの滝の上に取水口があったはず。
さっそく原因究明してみると、なんと取水口が完全に消滅している。
まさかとは思うが猛烈な濁流に破壊され流失してしまったようだ。  スサマジイ💧

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フリクションバッチリ右岸の岩場を巻きながらミニゴルジュの小滝や釜を越えていく。
少し開けて、大きな岩の塊のような滝にであう。

左端と右端に両方に流れがあるところだ。
写真は左側の水流だがあきらかに流れ方が違っている。

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右端の水流際を登って左の落口に回って見下ろしたところ。
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二条3mの滝、今までスルーしていたのかこの滝の記憶なし。
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この先で出合から続いたゴルジュ帯を抜けだすと、もう滝はない。そのかわり、今度は石積堰堤の連続帯になる。でも周辺の様子をみて唖然、渓相が一変していて以前はどんなだったか思いだせない。写真では伝わりにくいが谷間の中は押し出された土砂やなぎ倒された倒木に埋め尽くされ、両岸は濁流にえぐられて地肌剥きだし、斜面のいたるところに大規模な山抜けが確認できる。その崩落した土砂や倒木が沢を堰き止め、想像を絶する濁流になって鳥屋鐘沢を呑み込んだことがよくわかる。

ガレの山を乗り越えながら堰堤群まで来てみると以前は壊れずちゃんとしていた堰堤も半壊や倒壊、ほとんど壊滅状態だった。

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以前は無事だった最初の堰堤。
たいしたことなさそうだがこれは右半分、左は完全に流失して跡形もない。

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実際みるともっとスゴい。
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さて、きょうは早帰り予定なので鳥屋鐘沢を深追いするつもりはなく本間ノ頭へは向かわない。
580mからツガダチ尾根1108mピークに詰め上げる左岸の支流を登ることにした。
支流と書いたが、登り着くこのピークのことは「鐘沢ノ頭」と呼んでいる。
ってことは、こっちが本流筋ってことになるのかな?
まあ、深く考えると頭がこんがらかるので、細かいことは抜きにして先に進みましょう。
とにかく左(右岸)の沢へと入っていく。

出合に堆積した土砂を乗り越えていくと段々になって流れ落ちてくる急流の上に滝がみえる。
さらにその上の岩盤には石積堰堤があるのがみえる。

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急流を登って近づいてみると、手前に2mの一段を前衛にしてゴツゴツ岩を流れ落ちる15mほどの滝だ。左右どちらからも登れそうだが、左の岩壁の方がややよさそうなので取り付き、攀じ登って落口をハント。

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そのまま左から堰堤を乗り越えていくと、その先は予想どおりの岩屑に埋もれた沢だった。
埋もれた堰堤をいくつか越え黙々と登っていくがいっこうにガレはなくならない。
水流はガレの下なのでチョロチョロ、滝になるような段差もない。

稜線も近づいてきたところで狭いV字のルンゼに入り登っていく。稜線の明かりが見えてくと傾斜もややゆるみ岩床を這い上がっていく。
そして最後はお決まりズルズル泥斜面の登りになる。

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耐えて鐘沢ノ頭に出るつもりでいたが体力消耗するズルズル斜面がイヤになり、つい怠け心が起きて左にトラバース。鐘沢ノ頭の北東側に下った鞍部でツガダチ尾根に乗った。

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欲張らず、早出早帰りの山遊び。
きょうは余裕をもって3時のビールにありつけました🍺

松茸山登山口[7:00]…早戸川林道…鳥屋鐘沢出合[7:30]…鳥屋鐘沢…580m右岸支流[9:08]…鐘沢ノ頭北東鞍部[10:57]…ツガダチ尾根…六百沢ノ頭…タロベエ峰…一の沢橋[12:30]…駐車地[12:40]

2020.6.7(日)

《今回のルート図》

この記事へのコメント

  • M-K

    イガイガさん
    パトロールありがとうございます。
    下流域の地味なコケ岩やヤツ等が流されてスッキリした感じにみえます。
    ヤツ等に触れてありませんが如何でしたか?
    ここは恩師・TI堰堤博士を祖招待した処でもあり、また行きたいと
    思っていたところです。
    ここなら単独でも行かれそうですよね。左端と右側に分かれた水流の
    滝を右端から通過とありますが、細い梯子はまだありましたか?
    よろしくお願いいたします。
    2020年06月10日 22:08
  • イガイガ

    檜洞丸お疲れさまでした。お尋ねの梯子については記憶にありませんが、下の滝の取水口が流失したぐらいですから流されたのではないでしょうか。でもトラロープが残っているのでまったく問題ないです。ちなみに水抜きポスト横の巻き道ロープ、その先、右岸岩場の畳のヘリ付きロープは使えます。
    ヤツらは当日やや気温が低かったせいか、途中のヒルチェックでこっそり上がってきた二匹のみ、車に戻ってからのチェックでもゼロ、拍子抜けでした。やはりシカが減ったせいですかね。そのかわり今年はやたらと熊剥ぎを目撃します。ヒルじゃ死にませんが森のクマちゃんには十分ご注意ください。
    写真では沢の荒れ様がまったく伝わりません。中流域堰堤群の無残な姿を堰堤博士がみたらきっと嘆くことでしょうね。とにかく以前のトヤカネを知っている人ならその変貌ぶりに驚くことと思います。
    パトロールお気をつけていってらっしゃいませ。
    2020年06月11日 05:45
  • M-K

    大サービスの御教示誠にありがとうございます。
    凄まじい変貌ぶりにさぞかし驚くのではないでしょうか。
    a師範のUPにも大熊ハギがありましたが、恐ろしい…。
    最近は息子に持たされたチャカで”パン・パ~ン”とやっていますよ。(笑)
    2020年06月11日 10:20

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