入道棚と二ノ沢めぐり

このところ天気図をみても傘マークの消える日がなく、雨雲レーダーをみれば西から浮浪する雨雲が絶え間なく流れてくるので山遊びは落ち着かない。いかに山バカといえど、雨が降るのが分かっていて出かけるほどトンチキではないつもりだが、こもってばかりいてもカビが生えそうで気持ちが悪い。凄まじかった夜半の雷鳴も去り、土砂降りも朝方には上がって日中は晴れ間がのぞくはず、午後の遅くまで遊んでいなければ雨に降られることはないと見越し、軽めの沢遊びに出かけることにした。もちろん、長雨続きで水かさが増していることは十分承知のうえ、あまり急峻ではなくエスケープがしやすいところと考え、世附川水系土沢の上流域の沢を訪れることにした。
ザックリとしたルートは、明神峠を起点に静岡県境の湯船山稜を歩き、湯船山から北に延びる尾根を下降して土沢に至り、そこから上流域の様子をみながら遡ってみるつもりである。

朝モヤに包まれた明神峠を出発。
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今は昔、湯船山稜の朽ちゆく岩田道標。
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湯船山山頂の東側から土沢に向かい北の尾根をくだっていく。
とくに危険なところはなく歩きやすい尾根筋だが、気を抜いているとルートを外しかねない。
要所での方向確認は必要である。

尾根筋を最後まで下っていくと轟々と流れる土沢の水量は思っていたとおり豊富だ。
尾根突端から土沢に降りてみると、普段は水流の細い枝沢も立派な棚に変身していた。

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本当ならこのまま沢筋を行きたいところだが水かさが増しているので沢沿いを歩くのは困難。
右岸高みの土沢歩道に上がり、わずかに残る道形をたどって入道棚へ向かう。

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入道棚、瀑音を響かせ水煙をあげながら水流を吐き出す姿は圧巻。
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土沢歩道にもどり、右岸から滝つぼを回り込んで落口の上にでると、その先の沢の屈曲部で左岸に渡れば径路を伝って水ノ木幹線林道にあがることができる。本来なら沢の中を歩きたいところだがきょうの水量では無理、本流沿いを歩くのは諦め林道に上がりたいが、いつもなら岩飛びで簡単に越えられところなのに、足をすくわれそうで徒渉もままならない。流されないよう慎重に渉り林道にあがった。

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しばらくは林道を歩き、四の沢橋を渡り、一ノ沢、二ノ沢の合流点をすぎると左下から瀑音が聞こえてくる。少し手前から斜面を慎重にくだり沢に降りると、クランク状になったゴルジュの先に勢いよくほとばしる二ノ沢の棚が姿をあらわした。

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ふたたび林道に戻って二ノ沢沿いを行くが、このまま林道をたどっては明神峠に戻るだけで面白くない。二の沢橋までいったところで二ノ沢に入り、沢をさかのぼることにした。
ここまでくれば流れ込む支流も少なく、水量もだいぶ落ち着いてきた。沢の中を歩くこともできるのだが、倒木が多く障害になって歩きにくい。しばらくは左岸沿いの林業道をたどってから適当なところから沢の中へと入った。

大きな棚もなく見どころは少ない二ノ沢だが、沢の中は涼風が吹き抜けほっとする。
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右岸を伝うトイ状の流れ
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3mの小棚、滝っぽいのはこれぐらい。
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連段のナメ床。
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二ノ沢のハイライトはこのナメ棚かな。
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水流の中の縞模様が特徴的だ。
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880mの二俣地点、写真は棚で出合う右俣。
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そのまま本流筋の左俣へ。
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980m付近で佐久間東幹線の鉄塔管理道が木橋で横切る。ここで遡行を終了する。
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交差する鉄塔管理道を二ノ沢右岸側にたどっていくと、二ノ沢と一ノ沢の中間尾根に続いている。そのまま尾根伝いを歩いていけば293号鉄塔の下にたどりつき、ここからは一ノ沢側に下る径路をみつけ下降する。一ノ沢左岸に降りたたら対岸の崩れかけたジグザグ径路をみつけ、沢を横断して取り付いたら少しのあいだ我慢して急登をこなせば山腹をからむトラバース径路と合流する。そこからはほぼ水平に径路が続き、ところどころ消えかけたところはあるが、そんなときは標高を保ち目を凝らし歩いていれば、いずれ径路痕がみえてくる。大きな尾根をいくつか回り込み、谷筋を横切っていけば、最後は明神峠にぴったりたどり着くので知っていると便利な道である。

まだ時間は早く、はぐれ雨雲が襲来する前に戻って来られたので雨にあうこともなかった。
ヤマビル安全地帯ゆえヒルチェックはなしだが、山梨、静岡県境からの帰路は遠い。
早帰りの合言葉3時にビール、きょうはギリギリかな🍺

 2020.7.12(日)

明神峠[6:55]…湯船山稜…湯船山[7:35]…湯船山北尾根…土沢歩道[8:20]…入道棚[8:38]…水ノ木幹線林道[9:17]…二ノ沢の棚[9:40]…二ノ沢橋[10:10]…二ノ沢遡行…佐久間東幹線鉄塔管理道[11:30]…一ノ沢横断…明神歩道…明神峠[12:50]

《今回のルート図》

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