山遊びをやめてしまったわけではないのだけれど、なんせこのご時世、
ブログのアップを控えているうちサボり癖がついてしまい、
記事を書くのが面倒くさくなってしまった。
そんなわけだが、あまり放置していると忘れられそうなので
最近の出来事をひとつあげてみることにした。
梅雨入りまえのある日のこと、夜半まで降っていた雨も朝方には上がり、
湿った空気が漂う中、タライゴヤ沢上流域の尾根を登っていたときのことである。
気温の上昇とともにガスがわきあがり、霞んだ尾根沿いは鬱塞とし、
何がそう思わせるのか分からないが、なんとなくクマに出遭いそうなイヤな雰囲気であった。
そうそう出遭うことはないと思いつつも、遭わないという保証もない。
周辺に注意を払いながらゆっくり登っていると、
尾根沿いのスギやヒノキに無数の“樹皮剥ぎ”が見られる。
針葉樹林ではよく見る、シカやクマが樹皮を剥がして舐めた痕だが
時間がたった古い痕跡はよく見かけるのでめずらしくないが、
この"樹皮剥ぎ"はみょうに生々しい。
ごくごく最近、それもついさっきのものではないかと思えるほどだ。

まあ、シカなら気にならないけど、どうやらクマのしわざっぽい。
犯人を特定してみると、強引に引き裂かれバナナ状に剥かれた樹皮。
そしてなにより、剥き出しになった木部に残る無数の縦筋は
クマが門歯でこそぎとった痕跡「クマ剥ぎ」に間違いない。
「シカ剥ぎ」ではこういう歯形はつかずツルっとしているのが特徴なので明白だ。
まだそこいらをウロついているのではないかと緊張がはしる。
耳をそばだて、全神経を集中させて周囲の様子をうかがうが、近くにいる気配は感じない。
とりあえず、100円ショップで買ったクラッカーとホイッスルを持って身構える。
あまり広くない尾根沿いなので見通しは悪く、逃げ場もないので鉢合わせになったら怖い。
存在を示すため、二度、三度ホイッスルを吹いてから気配をうかがってみたが反応はなし。
それでもなんとなくイヤな雰囲気は消えずジッとしていると、
少し離れたところからバリッバリッという物音とともに何かの声が聞こえてきた。
人の声にも似たような笑い声ともケモノの唸り声ともとれる、なんとも表現しがたい声だ。
気のせいかと思い、さらに神経を集中させているとまたバリバリと聞こえる。
まちがいない、何かがいる!
登山道から離れた登山者は入らない尾根筋だし、
朝早くまだ林業仕事が始まる時間でもない。
姿が見えないのがなんとも不気味だが、また襲われるのだけは御免こうむりたい。
何度も笛を吹いて存在をアピール、しかし相手の行動がみえないので不安だ。
しばらくジッとしているとガレが崩れ落ちる音とともに
落石がおさまると下のほうから先ほど聞いたナニモノかの声が聞こえてきた。
人ではなく、聞いたことのないケモノの声だ。
どうやら、こちらの気配を感じたので逃げようとして
ガレを蹴散らし落石を起こした音だったようだ。
姿はみていないが崖下にいることはまちがいなさそう逃げるなら今だ。
とにかく夢中で尾根を駆け登り逃げだしたのはいうまでもない。
とにかくなにごともなく逃げだしたが
今回の近接遭遇もけっこう危うかった。
どうやら今年はクマの当たり年になってしまったようである。
丹沢山中、ずいぶん歩いているがクマの声は聞いたことがないので知らない。
家に帰ってからTouTubeを検索してみるといくつかそれらしい動画があった。
聞いた声とまったく同じと思えるものはなかったのだが、雰囲気は似ているし
丹沢に生息する他の野生動物の声とはあきらかに違った。
やはりクマの声だったようですぐ近くにいたのは間違いなさそうである。
ところで全く関係ないけれど、
プーさん、くまモン、リラックマ、はたまたダッフィーもティディベアも、
みんな、のんびり、おっとり、愛されムードのキャラクターばかりなのはなんでだろ。
クマに出遭ったら絶対怖いし、おっとりキャラクターなんてあり得ないよ。
2021.05.20(木)
この記事へのコメント
アンヌ
クマとニアミスだったんですね。今回もご無事でよかったです。。。
真新しいクマ剥ぎは、きっとイガイガさんが通過する直前のものではないでしょうか。
これが、木ではなく、人間だったら…と思うと心底、恐ろしい。
天気のよくない日で薄暗い時間帯にクマに出会いやすい、という噂?は、本当なのかもしれませんね。
イガイガ
5日も放置アンヌさん失礼しました。
コメント返しまで自粛してるわけじゃないんですけどね笑
ご指摘のとおり“天気のよくない日で薄暗い時間帯にクマに出会いやすい”はたしかに確率高いように思います。
もちろんピーカンでも出遭いますが、どよんとした日のほうが行動しやすいのかもしれませんね?。
まあ、ヘンなところばかり歩いているので
クマ、ヒル、ダニの嫌われものトリオは宿命と思ってます笑