
トップの写真は石棚山の南東尾根から撮ったものだが、中央に食い込む深い谷は東沢乗越から続く東沢、手前に見える尾根は同角ノ頭から東沢出合に延びる南西尾根である。そして、写真中央付近にはポツンと一本、針葉樹の高木が存在をアピールしているのが見える。
この写真は当日自分が撮ったものだが、実は先日、ある方から山を歩いている途中に気になる木を見かけたとのメールを頂いた。その写真が下の2枚、アングル的に同じ場所なのがわかると思う。

この木の位置を地形図に照らし合わせてみると、同角ノ頭南西尾根が1130m付近で二方向に分岐した東側の支尾根1030m付近のようだ。東沢の周辺は興味深く好きな場所なので、かつてずいぶん徘徊したが、この尾根は空白地帯で歩いたことがなかった。
場所の見当はついたので、さっそく探索に出掛けることにした。
玄倉から東沢まで2時間半ほどの行程は割愛して、欅平からは東沢を少し遡行しなければならず、もちろん沢の中を歩いてもさしたる問題はないのだが、きょうは東沢右岸の径路にこだわって、たどってみることにした。とはいえ、風化がすすんだ地質の脆い東沢周辺、かつてあった径路も今はザレて消えかけ、存在を知っている自分でも分かりづらくなってしまった。

地形図を見ると、取り付けそうな場所は何箇所かありそうだが、さてどこから登ろう…
径路をたどりながら右岸の様子を探り、比較的登りやすそうな斜面の末端に取り付いた。一年ほど前、東沢出合から同角ノ頭南西尾根に取り付いて登ったが、下部はけっこういやらしくて苦労した覚えがある。行き着く先は同じこの尾根、さしたる危険箇所もないので、同角ノ頭のルートにするなら、こちらのほうが正解かもしれない。

白ザレの斜面を登りながら振り返って対岸を見ると、女郎小屋ノ頭から大タル丸にかけてのコブコブ3兄弟がすぐそこに見える。あそこの標高がだいたい1030mなので、同じ高さになったあたりに目的の木があるはずである。

西を見ると富士山、
見えたときが撮り頃なので、スッキリ見えているうちに一枚。

あれだけ遠くから目立っている木なので、間違っても見過ごすことはないだろうと登っているうち、予定の標高付近まで来た。だが、周囲を見回してもイメージしている針葉樹の高木が見あたらない。そして、目の前にあったのがこのモミの木だ。

細すぎるしなんか違うよな… と思いながら見上げると、山側の枝の少ない特徴が写真と似ている。一応写真に収め、抱きついてザックリと胸高周囲を測ってみると220㎝ぐらい。まあまあだけど、モミの木としてはまだまだ若僧の部類。う~ん、この木でホントに合ってるのかな…

もらった遠望写真では、木があまり生えていない草原かカヤトの尾根のように見えたが、来てみるとずいぶん印象が違う。あまり広くない尾根でブナなどの落葉樹がほとんど、葉が落ちた今の季節は遠くから見晴らせるので、常緑高木のモミなどは目立って大きく見えるのかもしれない。
ここに来るまで見逃したとは思えないが、もしかしてこの先にあるのかもしれないと思い、さらに登り続けてみたが1130mの尾根合流地点まで来てしまった。結局、他に該当するそれらしい木は見あたらず何だか納得できないが、気を取り直し、もらった写真と同じ場所から自分の目で眺め、確かめてみることにした。
1130mで南西尾根に合流するとブナ主体の気持ちのいい尾根になる

さらに登って1200mの崩壊地横のキレット通過はけっこうスリリング

尾根を乗り移ったら、同角ノ頭に向かって岩ゴロの尾根を登っていく

着きそうでなかなか着かない同角ノ頭、やっと着いた、ふぅ~

昼もちかく、富士山はだいぶ霞んできた

同角ノ頭から石棚山稜までグル~と回り込んで、1351m石棚山から南東に下降。最初は尾根形などない急斜面をズルズルくだり、尾根の形になり始めた眺望の広がる1310m付近から気になる木を眺める。

どれどれ、やっぱりあの木がそれっぽいな…
ここから見ると立派なんだけど、現地では素通りしちゃいそうな感じなんだよなぁ...
まっそんなことはどうでもよく、最近はネタ切れ傾向なので、山遊びのキッカケとなる課題をもらえたので感謝、感謝。結果はどうあれ、また気になる木があったら連絡くださいな。よろしく😊
2023.3.11(土)
玄倉【6:20】…玄倉林道~仲ノ沢林道~中ノ沢径路…欅平【8:43】…東沢【8:49】…大ヒデノ沢右岸尾根【9:24】…同角ノ頭南西尾根…同角ノ頭【11:35/11:47】…石棚分岐【12:40】…石棚山南東尾根【13:33】…中ノ沢径路【14:24】……玄倉【16:07】
《今回のルート図》
この記事へのコメント
うらおもてたんざわねこ
以前行った時、南東尾根下部の白ザレのナイフ刃の上で枝に足をとられてつった時、めちゃくちゃ怖かったので、あのあたりはいまいち苦手です。
この樹、確かに周りの樹と比べて高さは抜きんでているけれど、その割に細い感じはしていました。太さが2m強では、歩いていても立ち止まらないレベルですねぇ。。。
人の多い丹沢では、「知られざる大物」というものに出会うのはなかなか難しいですね。
イガイガ
結果は少し残念でしたが、課題解決のため位置を特定してルートを決め、行動に移って探し歩く課程が楽しいです。今回にとどまらず、古木、老木、巨木はもちろん謎の木、気になる木などの情報がありましたらお願いします。