屏風岩山に突き上げている右俣を笹子沢といい、
・951に詰め上げる左俣は屏風岩沢と呼ぶのは少し違和感を覚えるが、
「西丹沢頂稜河川土地名称図」には確かにそう記されている。
また吉田喜久治さんの「丹澤記」には、屏風岩山の山名考として、
“これはササゴ沢のツメにある五枚折の屏風状の巨岩に起因するものである”としている。
しかし、これがどこを指しているのか明確ではなく、
笹子沢にこのような巨岩は見当たらなかった。
地形図を見ると・951から北側の毛出シ峠にかけての地形が入り組んでいて、
五枚折りの屏風のように見えなくもない。
もしかすると、土地の人はこの辺りを屏風岩と呼んでいたのではないかと、
勝手な考えを巡らしてしまうが、もちろん全くの私見、根拠はないので悪しからず。
ということで、いらぬ御託はこれぐらいにしてきょうも楽しく遊びましょう。
出発起点は大室生神社、いったん県道まで降りたら笹子橋まで歩いて
右岸の林道を笹子沢沿いにいく。
山あいの朝陽は昇りきっていないはずだが朝からとにかく暑い。
早くもバテそうだ💦
いつの間にか林道が沢の中に消えてしまうと、スリット型の砂防堰堤が見えてきた。
里山近くで主流になりつつあるこのタイプの堰堤、巻かずに間をスリ抜けられるのがいいね👍
スリットタイプの岳山堰堤をすぎるとようやく沢っぽくなり、
水の流れに冷やされた涼風が心地よい。
二俣まではゴーロだらけと思っていたけど、こんなところもあったんだ…
大正後期から昭和初期にかけての作品と思われる「笹子沢堰堤」
緻密に積まれた石積みはやっぱ趣があるね。
ここは 左岸にビテイで組まれた巻き道があり簡単に越えられる。
こんなミニミニ吹割り滝もあった。
釜も深い。
二段の滝の先に大きな滝が見えてきた。
590m二俣に着いた。
左が屏風岩沢・右は笹子沢、両門の滝となる590m二俣
左俣、屏風岩沢出合の大滝 右俣、本流の笹子沢大滝
ここからが本日のメインイベントだな。
まずは、屏風岩沢出合の25m大滝を越えなければならない。
見ていると水流沿いに登れそうに思えてくるが邪心を抑え、
水流左側の岩溝に取り付いて這い上がり、
落口に続くバンドをトラバースする。
二本ある屏風岩沢大滝の落口 (ardbegさん提供画像)
すぐに続く段々のナメ状小滝を越えていく。
上には、ゆるい2段傾斜の10m滝、ここは左から。
さらに続く2段の滝は下段の4mを左から巻いてテラスを横切り
5mの上段は右から巻いていく。
いったん滝場が終わるとゴーロ状になった。
ふたたびゴルジュになると左から幅広の滝が落ちてくる。
支流の滝かと思ったのだが正面はルンゼで水流なし、こちらが本流だ。
斥候はardbegさん、水流の右から攀じ登る。
ところどころに岩盤から湧き出る石清水をみるようになる。
水流の細くなった小滝を越えていく。
やがて水が消えると涸棚地帯となった。
ホールド、スタンス豊富でフリーで登れる涸棚がほとんどだが、
大丈夫と思って体重をかけた岩がガラッと崩れ、危うく滑落しそうになった。
大事をとってロープをもらっていたので事なきを得たが、やはり油断は禁物である。
“くノ一”はヒョイヒョイ
最後の涸棚を登り切ると渓相は一変して稜線も近い。
稜線に上がって休憩したら、帰路は久しぶりに屏風岩山の南稜をくだる。
二本杉峠で一休み。
ここからは細川沿いに下って大室生神社に戻れば終了。
ちょっとしたヒヤリハットはあったけど、楽しく遊んで無事に帰還をモットーに、
本日も満喫した沢遊びとなりました。
2023.7.29(土)
大室生神社【7:20】…笹子橋【7:30】…笹子沢…岳山堰堤【7:50】…笹子沢、屏風岩沢分岐の590m二俣【8:50】…出合の大滝越えて屏風岩沢へ…涸棚帯【10:35】…屏風岩山南稜951北側【11:50】…二本杉峠【12:30】…大室生神社【13:20】
《今回のルート図》
この記事へのコメント
olddiver
いつも拝見しています。笹子沢を上がって行き、標高約870m付近で本沢とは別に右に行く支沢があります。この支沢の出合付近の左岸には、丁度大きな板状の岩が折り重なった様な場所があります。自分もこれが屏風岩山の所以だと思っています。登山をはじめた頃に、屏風岩山に登山したときに、そんな岩はどこにあるんだろうと思っていましたが、沢を上がった時に納得しました。
ヤマレコ https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4974544.html
に記してあります。
イガイガ
笹子沢は、何度か屏風岩に由来する岩がないか、
気に掛けて歩いたことがあるのですが、
そのような岩は気が付きませんでした。
どこ見て歩いてるんですかね(笑)
今度、沢歩きがてら確認に行ってみようかと思います。