東沢から遺言棚

このところ、湯河原通いの山遊びが続いたので、ホームグラウンドの丹沢に戻り、
滝でも眺めて癒されようと思い、久しぶりに同角沢の遺言棚を訪れてみることにした。
もっとも、体力の低下が著しい今日この頃の事情を考えると、
以前のように、気やすく同角沢を遡行して訪れるには無理がある。
中ノ沢径路をたどって東沢を乗っ越していく、安直なルートで訪れてみることにした。

4月に入ってもなかなか気温があがらず、咲きそうで咲かない今年のサクラ。
無意味な開花宣言ばかりにこだわるTV局と煽られる気象庁。
どうでもいいじゃん、待ってりゃ順番に咲いていくんだよと思うんだけど...

ほら、玄倉にだって順番来たよ。
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玄倉林道も仲ノ沢林道も、相変わらず一般車輌の通行は不可。
ただし歩行者は、玄倉林道の第2発電所先、蛇小屋隧道(第4号隧道)
までは通行可能になったらしい。
玄倉林道方面も気になるところだが、きょうのところは左の仲ノ沢林道へ。

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仲ノ沢林道をトボトボ歩いて終点から中ノ沢径路へ入っていく、
崖際に切られた水平回廊のこの辺り、雰囲気あるよね。

ところで、道すがらの通行を補助するロープが、けっこう増えた気がするけど、
かつてはこんなになかったと思う。
ちょっと過剰じゃないの?と思えるくらいだが、足もとがおぼつかない昨今、ありがたい。

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欅平に着いた。
なんかずいぶん時間がかかったような気がするけど、こんなに遠かったっけ...

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欅平の堰堤の脇から小川谷に降りて東沢へ。
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東沢は全般に穏やかな流れなので、沢通しに歩いても全く問題ないが、
それでも2,3、滝場っぽいところはある。
沢靴なら気にすることなく行けるが、きょうは普通の靴なので右岸に上がり、
すでに消えかけた径路を追って越えていく。

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金山沢と名を変える最後の沢筋に入り、鉱山跡の湧水口まで来てビックリ❗
小さな隙間から流れ出ていた湧水だったが、壁が大きく削られ無残な姿に…
しかも味気ない塩ビのパイプが湧水口に差し込まれ、
何やら書かれたプレートが二枚くくりつけられている。
この解説板いる?

内容はこちら  ⇒ 右プレート左プレート
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荒らされているのも気分が悪いが、
観光地じゃないんだから、こんな余計なもんいらんだろ。

穴の前には埋まっていた残留物なのか、トロッコレールの残骸が放置されていた。
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言いたいことはいっぱいあるけど飲み込んで...ゴックン
寄ろうと思った坑道にも寄らず、気をとりなおして遺言棚へむかう。

このまま沢を詰めても東沢乗越だが、沢筋ではなく右岸に上がり径路をたどる。
しかし、来るたびに風化が進行、今ではほとんど道形もわからず判別不能。
わずかな痕跡をたどって右岸をトラバース、東沢乗越の狭い鞍部についた。

乗越に上がり、東沢側詰めのルンゼを覗いてみると、ご親切にも長いロープが設置されている。
沢筋を詰めたほうがラクだったかもしれないが、ここはやっぱり径路にこだわりたいな。

東沢乗越おなじみの警告板と案内板、3枚そろって健在。
20年前、初めてここにきたときすでに傷んでいたが、
今も変わらず大事にされているのがうれしいね。

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鞍部を乗っ越し、そのまま遺言棚の落口まで降りていく。
覗き込むと下からは見えない二段の釜がある。

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落口左岸の巻き道を灌木につかまりながら下降して、
ガレに埋もれたルンゼを下れば、遺言棚の下に降りられる。

手持ちの高度計で落口と棚下の高度差を計算してみるとおよそ45m。
一般的に言われている落差と合致した。
ただし、3段とか4段とか言われる段数はザックリしすぎじゃないの?
主観だけど、見た目の段数を数えてみると、
下から7段、見えない上の2段を足して9段が妥当じゃないかな。

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登攀ルートを目で追ってみると登れた気になるのが不思議。
見た目より脆そうだし、途中で詰まったら降りられないので無茶はしないよ。

遺言棚眺めて少し休憩したら東沢乗越に戻り、
モチコシノ頭へ続く白ザレ道を上がって帰りのルートへむかう。

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モチコシノ頭で下降方向を確認し、西に向かって白ザレの急斜面を一気に下り、
ヤセた鞍部を渡って登り返していく。

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登り返した大ギリ山から北西に続く女郎小屋ノ頭へ。
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いったん鞍部に下ってまた登り返せば、女郎小屋ノ頭の山頂に着く。
眺めがいいわけでもなく、変哲もない山頂なのに、なんだかここにくると安心するんだよな。

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女郎小屋の尾根をくだっていく。
今年もミツバツツジの季節がやってきました。

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女郎小屋の尾根920m付近から南東に外れ、日向山へ向かう途中の雰囲気のある馬の背。
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モミの大木が中央に鎮座する、日向山北側の鞍部。
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登り返えしの急登をこなせば日向山だが、山頂の周りは保護柵が張り巡らされているので要注意。
うまいこと抜け出したら、南西の尾根を一気に下って女郎小屋沢出合である。

玄倉川を渡ってうしろを振り向けば、降りてきた女郎小屋ノ頭。
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帰り際の玄倉林道を歩きながら敷地山の山腹を見れば、点在するヤマザクラ。
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かつて散々歩き回ったこのエリア、さすがにもう迷うこともなく、
無駄な寄り道もしなかったのに、戻ってみれば想定していた帰着予定時間の最大値。
日が延びたからいいけれど、もう欲張った計画は立てられないなと実感です。

2024.4.11(木)
玄倉[7:00]…玄倉林道…仲ノ沢林道…中ノ沢径路[8:20]…欅平[9:45]…東沢…東沢乗越[11:50]…遺言棚落口[11:55]…遺言棚下[12:10/12:30]…東沢乗越[12:52]…モチコシノ頭[13:10]…女郎小屋ノ頭[13:55]…日向山[15:10]…女郎小屋沢出合[15:45]…玄倉林道…玄倉P[17:00]

《今回のルート図》

この記事へのコメント

  • ミックスナッツ

    イガイガさん

    ご無沙汰しています。
    東沢の鉱山跡、変わっちゃったんですね。
    再手術後は以前より歩けるようになりましたので、
    後追いしてみます。
    2024年04月24日 12:53
  • M氏

    イガイガさん記事更新有り難うございます。
    東沢鉱山湧水は坑道の水抜き穴との持論
    まちがいないようです。
    ミツバツツジも綺麗ですね、
    我が家のミツバツツジももうすぐ咲きます。
    シロヤシオも植えました
    丹沢の草木を我が家で楽しもうと目論んでおります。
    2024年04月24日 19:16
  • イガイガ

    ミックスナッツさん、お元気そうでなによりです😊

    そうなんですよ。
    自然のチカラで変わっていくのは仕方がないですが、
    人為的な変化を見るのは、もうすぐフェードアウトしていく身
    としては淋しい限りです。
    2024年04月25日 07:31
  • イガイガ

    懐かしのイニシャルMふたりから同日のコメント嬉しいです♪
    丹沢で積み残した課題、少しずつ解明していきますね。
    遠隔地で丹沢の草木を楽しむのはけっこうですが、
    くれぐれも相模上臈杜鵑だけは目論まないようお願いします(笑
    M-Kさん、まあちゃん、massyさん元気かな?
    2024年04月25日 07:37