大野山の南麓を源とする短い沢だが、小さいながらそれなりに滝もあり、
マイナーな沢遊びや滝巡りが好きな人にはお薦めできる沢である。
本題に入る前に沢名に関して一言。
この沢、沢ヤの界隈では「トチメ沢」と呼ばれることが多いようだが、
これはおそらく昭和16年に発行された丹沢紹介の草分け本『丹澤山塊』に
付属された『丹澤山塊全圖』に「トチメ沢」と表記されていることがもととなり、
その後の沢関連の書物や地図などに影響して広がったものと思われる。
これが 誤表記なのか、 土地訛りの呼び名や別称なのかは 定かでないが、
山北町や神奈川県の行政関連の資料には「栃谷沢」とあり読み方も「トチヤ沢」である。
というわけで、ここでは行政側に迎合して「栃谷沢(トチヤ沢)」と表記しました。
【参考資料】

閑話休題、ごたくはこれぐらいにして本題に戻ります。
栃谷沢への取付き周辺は、新東名の工事車両が頻繁に通り、
道も狭いので路駐は厳禁、関連施設もあり作業員の目も気になるので、
ちょっと離れた県立つぶらの公園に車を置いて出発した。
行きは少し歩くが下りだし、遡行終了後も比較的近く便利である。
車で登って来た道を歩いてトボトボ戻り、最初の課題となるのが栃谷沢の入渓地点だ。
出合につながる鍛冶屋敷沢の下降地点が分からないので探りながら歩いていくが、
降りられそうでなかなか降りられず、適当なところがみつからない。
やっとみつけたのが、工事関係者用の鉄板が敷き詰められた駐車場の際にある
「幅員減少」の看板と、ダイドーの自販機のわずかな合間だ。
何とか降りらそうだが、そばにいる交通整理員の存在が気になる💦

躊躇していると、ちょうどよいタイミングで上下からダンプがやって来た。
おっちゃんがすれ違いの誘導をしている隙をついてこっそり侵入👍
無事、鍛冶屋敷沢に降りらたのだが、このあと痛恨のミス!
目的の栃谷沢出合は少しだけさかのぼった上流側なのだが、
確認もせず勝手な思い込みで下流方向へスタコラさっさ…
何も考えず歩いていると上方に東名が通っている…
さすがにおかしいことに気づき、地図を確認してみれば何のことはない、
降りたすぐ上流が出合だったんじゃないか。
すぐに引き返したが、30分の無駄なアルバイトとなりました。
右上から左下の流れが鍛冶屋敷沢、その右岸に出合うのが栃谷沢

出合に入ってすぐはこんな感じ。

沢沿いには導水管や取水の枡らしい遺構が残っているので、
かつては下流地域の水源の沢になっていたようだ。

ずいぶんゆるい流れだな…

中央に3mの大岩が居座る

黒いナメ床


3m滝の先に直瀑が見えてきた。

チムニーのようにえぐれた10m滝だが、
陽射しが滝身に当たりまともな写真が撮れない😥

この滝は立っていて直登はムリ。
巻き道は左手の泥斜面から取り付いて“く”の字にジグザグ登って、
落口方向にトラバースしていくのだが途中に倒木が寄りかかり、
径路を完全にふさいでいる。
倒木を避けて高巻く踏跡もあるのだが面倒くさい。
ミスって滝下まで落ちたらアウトだが、必死にしがみついて倒木を跨ぎ、
どうにか乗り越え落口に立った。
落口の左岸には人工物があったが、
おそらく取水塔かなにかがあったのだろう。

日当たりがよすぎてどれもひどい写真ばかり…

幅広扇状の5m滝は、段々に流れ落ちる左から登れそうだが、全身シャワーまちがいなし。
巻き道がないかキョロキョロすると、左岸に巡視路の桟橋がみえたのでそこまで登り越えていく。

巻いていく途中、左岸の枝沢から落ちる15mの滝があった。

下段がプチひょんぐっている2段4m、右から越える。

3m、4mと連段が続きいい感じだが、
右岸は人の手が入っていて鎖つきの径路まである。
つぶらの公園からの径路があり、
ここまで降りてこられるようだが、ちょっと興ざめ…

しかも「開運の滝」なんて名前も付けられていて...なんかダサくない?

ドクを吐いたらこのさき立入禁止だって、あとは自己責任

と言っても、たいした危険があるわけでもなく沢筋は凡庸で退屈だな。..
ゆうこと聞いてさっきの場所から、つぶらの公園に上がったほうが賢明だったかな…

これが最後の小滝かも。

水流が消えるあたりに最後の取水タンクがあり、ここから水を引いていたようだ。

下流域で水と戯れているときはそれなりに涼しかったが、水流がなくなると暑くてしょうがない。
当初の思いは、水が消えても最後まで沢筋を詰めるつもりでいたが
じゃっかん熱中症ぎみでフラフラしてきた。
沢の中でぶっ倒れる前に早めにエスケープして右岸に逃げつぶらの公園へ。

陸に上がると直射日光と照り返しでムンムンして、まるでゾンビ歩きだ😵

意識のあるうちどうにか戻って参りました。

そうそう、東丹沢ほどの集中砲火は浴びなかったが、
それなりにステルス攻撃してくるヤツらはいるので防御忘れずに。
2024.7.4(木)
山北つぶらの公園[8:00]…都夫良野入口[8:30]…鍛冶屋敷沢下降[8:42]…勘違いで無駄な往復[30分ロスタイム]…栃谷沢出合[9:10]…栃谷沢遡行[9:34]…開運の滝[10:37]…取水跡地で水涸れる[]…栃谷沢右岸[]…保護柵に阻まれる[]…登山路[12:37]…つぶらの公園[13:00]
《今回のルート図》
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