これが沢の名前に由来しているかどうかはさておき、
本年度の沢納めに水ノ尻沢の三段の滝を観瀑してこようと思い、訪れた。
水ノ尻沢右岸の道を入った、水ノ尻日蔭にある煤ヶ谷平成の森の園地を出発。

貫禄のついてきた水ノ尻沢第2号ダムを左から越えていく。
ちなみに砂防ダムと堰堤の違いには一応の定義があり、
昭和39年施行の河川法により15m以上を「ダム」、15m未満のものを「堰堤」と定めている。
ただし、それ以前の旧河川法には明確な規定がなかったため曖昧だったようである。

うす暗い植林に囲まれ、雑然とした下流域はあまり遡行価値を感じない。

沢沿いの径路はなるべく歩かず、飛び石で沢の中を歩いていく。

これも一応滝かな... 二条3m黒岩の滝

植林帯から抜けだしたこの辺りから期待感がでてくる。

沢筋が左に曲がると...

沢の中はいまだ秋の色が残る。

こんな2mの滝を越えていくと...

本日メインの三段の滝の登場。
主観の落差は18m。はっきりとした三段になった滝で、なかなか優美である。

ここを越えるには、左手の斜面に垂れるトラロープをつかんで登っていく。
途中に一本木があるだけで、ほかにつかめるものがなく、
上部は斜めった岩盤なので滑りやすく、このロープがなかったら難儀する。
20m以上登って落ち口方面へトラバースしていくのだが、これもけっこう微妙だ。

右岸から最上段の落口に降りていく。
左岸からは湧水が流れ落ちていて、どうやら水流のほとんどはこの湧水だったようだ。

三段の滝を越えた先で右に曲がると、四段くらい連続した段々になった涸棚があった。
基本的に、以前の記録を読み返してくるなんてことはしないので、前どうしたかなんて覚えていない。
右から巻いたような気もするが、直接いけそうなのでチャレンジしてみる。
それほど濡れた岩ではなかったのでフリクションは十分、一段ずつゆっくり登って上に抜けられた。

沢の中に何か落ちてる...
一瞬ドキッとしたがハンターキャップが落ちていた。
飛ばされたにせよ、落としたにせよ、どうして回収しなかったのだろう...
そういえば以前来たとき、この先に埋れたザックがあったなと思い出した。
なんかイヤな感じ…

二段10mのほぼ涸棚、ここは周囲の雰囲気で思い出した。
前回は左手のルンゼに取り付いて、脆いリッジに乗り移り高巻いた記憶がある。
ただし、岩が脆くて怖かったので今回は却下。
右側の壁際をみると抜けられそうなバンドっぽいところがあり、
微妙だがトラバースできそうにみえる。
今回はここからチャレンジ、壁際を伝ってへつっていくが如何せん脆い!
あと数歩で抜けられるところまで来たが、足場が斜傾している上に、
安心してつかまるものがないので、身動きできず詰まってしまった。
強引に行けば、足を滑らせてアウトになりかねない。
しかも、ギリギリのトラバースだったので、引くこともできず万事休すだ❗
こんなときはまず深呼吸、戻るしかないので一歩一歩確実に、
慎重かつ安全を確保しながらゆっくり後退していく。
最後はなり振りかまわず、なんとか無事に降りることができホッと一息。

気が付くと、ここで小一時間奮闘していたようだ。
折れ掛けた心を奮い立たせ、他のルートがないか模索する。
右手手前のルンゼに林業用ピンクテープがあり、初めに巻き道の目印か確認したが、
行けそうにないと判断して諦めたところだ。
あらためてじっくり検討してみると、なんとかなりそうである。
ルンゼに入り、30mほど登っていくと斜面にトラバースできそうな踏跡があった。
踏跡というよりおそらく獣道だろうが、さっきのトラバースよりマシだ。
なかなか沢に降りていかないのでやきもきするが、
しばらくたどっていくと、無事に沢筋に復帰することができた。

さあ、水ノ尻沢のクライマックス、詰めのルンゼも近い。

この狭い割れ目の中行けるの?

ルンゼの本筋を最後まで詰めるつもりだったが、
ここで痛恨のミス!
最後の分岐を見誤り、一本手前のルンゼを登ってしまった。
途中で気が付いたがもう遅い、戻れずに覚悟をきめて登っていく。
最後はザレザレの斜面を信用できない木の根っ子をつかみながら、
必死の思いで尾根上に這い上がった。

本来は、水ノ尻沢の右岸に上がったら三峰山まで行き、大小屋沢でも下降してこようなんて
意欲満々だったのだが、すっかり意気消沈。
予想以上に時間がかかってしまい、体力も消耗したのできょうはここまで、
おとなしく八丁径路をくだって帰ることにした。

途中、作業経路があらわれたのでどこに降りていくのか、たどってみることにした。
尾根の末端方面に向かうかと思ったら、予想に反して右手の不動沢側に折り返しながらくだっていく。
遠回りではあるが、最後は谷太郞川沿いのどこかに降りていくはずである。
忠実にたどっていくと見覚えのある不動沢の左岸に降りてきた。
左岸を少し歩くと、清川リバーランドの前で谷太郞林道と合流した。

季節外れの12月に入って沢心がよみがえってしまったが今年の沢遊びは終了、
これをもって沢納めです。
山にはあと1,2回なら行けそうなので、年末の挨拶はまだですよ😉
2024.12.19(木)
水ノ尻日蔭[7:10]…水ノ尻沢…三段の滝[8:30]…八丁径路(水ノ尻沢右岸尾根)[11:40]…作業用径路…不動沢出合[13:00]…水ノ尻日蔭[13:08]
《今回のルート図》
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